学歴とエントリーシート

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大学全入時代の到来が言われて久しくなります。理論上、選びさえしなければ希望者全員が大学に入学できるようになりました。それにともない、浪人生の割合が低下し続け、「一浪(ひとなみ=人並)」という言葉は既に死語となり、現役で入学するのが標準となってきました。大学側も受験生確保に躍起で、総合型選抜の拡大、入試方式の多様化、高大連携等さまざまな入試機会を設定してきています。特に地方国公立大学や中低位私立大学でその傾向が顕著です。

では、大学はなんとかなったとして、そのあとの就職はどうでしょうか? たしかに働き方の多様化が叫ばれ、起業が注目される風潮もありますが、まずは就職してスキルを磨き自己実現をはかっていくのがセオリーだと思います。

その就職活動で大多数の大学生が頭を悩ませるのが、「学生時代に力を入れたこと、そこから学んだこと」いわゆる「ガクチカ」です。特に、2022年度の大学3年生は受験時にコロナ禍が発生したため、入学式は中止、授業はもっぱらリモート、1年間は同級生との交流はほとんどなく、他者との接触が制限されて孤独感に苛まれ、希望と意欲を削がれた学年です。

エントリーシートだ、面接だ、さあ私の「ガクチカ」は?と考えたとき、空疎な自分に愕然とする学生が多いと聞きます。中には1∼2日のボランティアやインターンシップを長期間やったように話を盛ったり、他人(たとえばクラブやサークルのまとめ役)の活動を自分のことにしたりする不埒な輩もいるようですが、相手は百戦錬磨の面接官です。過大な誇張や嘘は必ずばれます。

「ガクチカ」が無いなら無いで、なぜ無いのか分析し、そんな自分をどのように変えていきたいのか誠実に前向きに語る人とは、一緒に働きたい気持ちになります。社会では、経歴やスキルもさることながら、その人のたたずまいがものを言うと思います。

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