医学部予備校は大学医学部に進学することに特化した予備校で、大手予備校と提携している有名なところが数社あり、その他小規模に展開しているところが数社あります。
医学部予備校はなかなか実態が見えづらく、わかりにくいというのが本当のところではないでしょうか。そこで、基本的にネットの情報を頼りに医学部の予備校を評価していくことになる方が多いと思われます。しかし、必ずしもネット上の評価と医学部予備校の質はリンクしていないということを今回お伝えしていきたいと思います。
医学部予備校の違いはなにか
授業は集団か個別か
まず医学部予備校のサービスについて、まずは授業が基本です。こちらは90分〜150分の授業が組まれているところが一般的です。塾の方針によって、少人数の集団授業と個別指導、それら両方を組み合わせたところの3パターンがあります。
自習室は利用可能か
また、自習室が利用できるかどうかも重要です。授業のみというところもあれば、授業のある日は自習室利用が可能なところ、専用自習室を確保できるところもあります。
質問対応はしてくれるか
授業以外で質問対応をしてくれるかどうかは予備校選びで重要です。校舎で待機している講師に質問ができる場合やチューターを常駐させている塾もあります。
学習管理システム
塾・予備校として、どれだけ一人ひとりを手厚く見てくれるかは確かめておきましょう。実際に授業だけで成績が上がるほど、勉強は甘くありません。それも医学部のレベルとなれば、なおさらです。授業外でどれだけ学習のフォローをしてくれるかは重要なポイントです。医学部予備校の多くは一人ひとりに年間の個別カリキュラム設定してくれます。その後のフォロー体制をしっかりと確認しておきましょう。
医学部予備校の学費は結局どこも高い
医学部予備校の学費はとにかく高いです。一般の学部を受験する大手の予備校が年間100万円程度とすると、医学部予備校はその5倍の500万円以上のところが多くなっています。しかも、大体の予備校は春と秋の2期分の授業料でしか表記していないところが多いです。実際は夏期や直前期に追加で授業を取る必要が出てきたり、直前期には授業を増やすことを勧められたりして、結局倍近い費用が必要となります。最初の見かけの料金は様々ですが、最終的な費用は結局どの予備校も近いものになるのが通例です。
費用は何に使われているか
医学部予備校の運営には大まかに下記のような費用が使われています。
- 講師にしはらう講師料
- スタッフへの給与
- 校舎の賃料
- 広告宣伝費
広告料はお子様のためになりません
ここで、注意していただきたいのは広告料についてです。これは、今の生徒のために使われる費用ではありません。将来の生徒獲得のための費用です。ここばかり大きいというのはみなさんが支払う授業料が自身のお子様のために使われていないということですので、あまりうれしくありません。
支払う授業料のうちどの割合を講師へ当てているか(講師料)
逆に、講師料に当ててくれたほうが、講師も人間ですのでモチベーションが上がり生徒の成績向上に繋がります。また、ワンランク上の講師に授業をしてもらうこともできます。
都心一等地の豪華な校舎、必要?
校舎の賃料についても良く医学部予備校は都心の一等地のビルに入っており、内装にも手をかけられていることが多いですが、大学受験の学習にそれほどの設備が必要でしょうか。正直机と椅子さえあれば勉強できますし、講師がいれば授業ができます。場所や内装が学力を上げてはくれません。その点についても冷静に見極める必要があるでしょう。
ネットで「評判の良い」塾・予備校は広告に高額を費やしている
このネット時代、広告は費用をかければかけるほどオンライン上で露出を増やすことができます。結局のところ、ネット上での評判はネット上での存在感とほぼ同義です。その露出が多いからと言って、必ずしもそのサービスが優れてるとは限りません。
予備校の裏側
合格実績はてんこ「盛り」
医学部予備校に限らず、合格実績はさほど気にする必要はありません。強いて言うなら、合格率や合格者の入校してからの平均年数といったデータの方が重要です。しかし、そういった情報は予備校側もなかなか公表しないのでわからないのが現実だと思います。
合格実績については、基本的にのべ数の表記のところが多いです。ひどい場所では実力ある生徒には、受験費用を塾側が全額負担して、無理やり10大学以上受験させ合格実績を増やさせているところもあります。また、ボーダーギリギリの生徒については強引に地域枠を受験するよう説得することもあります。地域枠は生徒の今後の人生を大きく左右する選択ですので慎重に検討しなければならない話題ですが、十分な情報提供を受けられないまま受けさせられていることがあります。
合格実績は予備校の営業の柱にもなるので、よく見せるためにあらゆる手を使いますが、データの収集方法がこのあり様なので、過度に信頼しないほうが良いでしょう。
「お客さん」になると悲惨
予備校の収益は生徒からの授業料です。しかし生徒が合格してしまうと収益がなくなってしまいます。(医学部受験は複数年浪人することが多く、一般的に不合格になった生徒は来年度も同じ医学部予備校に通う)ですので、医学部予備校にありがちなのは、合格ができそうな生徒には合格実績を上げるために無理やり複数の大学を受けさせ、実力不足の生徒については、いい「お客さん」扱いを受け、甘い言葉で居心地良いようにばかり接してくれ生徒の実力向上には全くつながらないということがあります。
予備校を選ぶポイントは?
ホンネで話してくれているかを見極める
医学部予備校の価値とは結局、どれだけ生徒のことを考えてくれているかということです。そのためにはやはり、実際に面談を通して塾のスタッフの対応を見ることが重要です。その際、厳しい言葉でも現実的に話しているかどうかということを見極めましょう。世間では偏差値30から1年で医学部へ合格させますと言っている医学部予備校が多数あります。確かに合格させられる場合もあります。ただし、すべての生徒がそのような大逆転を起こせるわけではありません。実際はほとんどが2年,3年かかります。面談では現在の成績と照らし合わせて、現実的なプランを提示してくれるところを選びましょう。「絶対合格させます」には要注意です。
まとめ
医学部予備校のネット上の評判とその予備校の実力は必ずしも一致しません。ネット上の評価だけで予備校を決めてしまうのは危険です。しっかりと、複数の予備校に足を運び、教室の雰囲気やスタッフの誠実さを見極めてから、検討するのようにしてください。